児童養護施設でくらす子どもたちには、どのような環境が準備されているのか

児童養護施設は、6つの種別がある児童福祉施設の中で、最も多くの子どもたちが生活している場所です。全国に約600か所約3万人の子どもたちが暮らしています。一つ一つの家庭が違うように、施設にもさまざまな形態があり、そこでの暮らし方も多様です。

 

施設の形態には大舎中舎小舎小規模グループケアの4つがあります。さらに、地域の一軒家で暮らす地域小規模児童養護施設という形態があります。大舎は20名以上、中舎は13人〜19人、小舎は12人以下、小規模グループケアは6名程度となっています。

 

以下に大舎・中舎・小舎・小規模グループケアについて詳しく見ていきます。

 

 大舎でのくらし
大舎は、一つの寮に20人以上が暮らす大規模な集団生活です。大きな建物の中にリビングや風呂などの設備が配置され、一般的には一部屋5人〜8人、男女別・年齢別にいくつかの部屋があります。

 

食事は大きな食堂で一緒に食べ、入浴は複数の子どもたちが同時に入ることが一般的です。設備や生活空間も共同で使われます。集団で生活を送ることが基本のため、プログラム化された生活リズムがあります。

 

このような生活には、職員が管理しやすい点があります。一方で、プライバシーが守られにくい家庭的な雰囲気が出しにくいなどの問題点を抱えています。

 

平成20年では約7割がこの形態でしたが、平成24年では5割に減っており、年々減少傾向にあります。

 

 中舎でのくらし
1つの寮に13人から19人が住んでいます。大きな建物の中を区切りながら小さな生活集団の場を作り、それぞれに必要な設備(食堂やリビング、風呂など)を設けて生活しています。

 

大舎に比べてプライバシーに配慮した生活空間となっていますが、集団的な要素が強く、家庭的な雰囲気からはほど遠いのが現実です。

 

 小舎でのくらし
現在、児童養護施設は小規模化が進んでいます。家庭に近い雰囲気で、子どもたちが生活できるように支援する動きが背景にあるためです。平成20年には2割程度でしたが、平成24年には4割の施設がこの形態を取っています。

 

1つの寮に12人までの児童が住んでおり、一つの施設の敷地内に独立した家屋がいくつかあります。また、マンションのように、大きな建物の中にそれぞれの寮が存在しているものもあります。大舎と比べると小集団であるために、家庭的な雰囲気で暮らすことができるのが特徴です。

 

 ユニットケア(小規模グループケア)でのくらし
ユニットケアは小舎制に含まれ、平成16年から制度化されたものです。原則として定員6名までとなっています。

 

限りなく家庭に近い環境の中で、ともに暮らす子どもの人数も少ないため、大舎や中舎に比べると複雑な人間関係によるトラブルやストレスは少ないです。職員との個別的な関係を重視した、きめ細かなケアを提供していくことができます。

 

密な人間関係となるため、そこでうまくいかなくなると、子どもはもちろん、職員もストレスを抱えやすい環境にある点はリスクと言えるかもしれません。

 

 地域小規模児童養護施設でのくらし
この施設は、平成12年に制度化されました。本体の児童養護施設とは離れ、地域にある既存の住宅を活用した定員6名の施設です。外観は一般的な家屋と同じであり、一見すると施設とはわかりにくい特徴があります。

 

小規模グループケアの特徴に加え、地域社会の中にあるため、近所付き合いや買い物など、施設では機会の少ない豊かな生活体験を送れることが大きな特徴です。

 

このように、一言に「児童養護施設」といっても、さまざまな暮らし方があることを知っていただけたかと思います。

 

児童養護施設では、いろいろな事情を抱えて、自身の意思とは関係なく施設に来ることを余儀なくされた子どもたちが暮らしています。ご飯を食べること、安心して眠ること、学校に通うこと、私たちが当たり前だと思っていることが、彼らには与えられませんでした。

 

彼らにとって、どのような環境が適しているのか、またどのような暮らし方が安心につながるのか、施設職員は日々悩んでいます。

 

一人でも多くの子どもたちが、与えられた環境や職員と関係性の中に居場所を見つけ、安心して暮らし、希望的に生きることを望むばかりです。
 

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