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施設でくらす子どもたちが再び家族と暮らすまで

さまざまな事情を抱えて児童福祉施設で暮らしている子どもたちの中で、再び家族と暮らすことになる子どもがいます。

 

どのような場合だと実現するのか、実現に向けてどのようなプロセスを歩んでいるのかを、事例を通してみていきます。

 

 家庭に帰ることができる事例とは
大前提としては、虐待のリスクがないと判断された場合に、家庭への復帰の可能性を探っていきます。虐待のリスクはなくても、子どもの年齢が小さい場合(乳幼児から小学校高学年くらいまで)は心身の健康を考慮し、保護者が適切な養育ができるかどうかという点もポイントになります。

 

また、ひとり親家庭で親が働きに出て、不在の時間が長いことがわかっていても、子どもが一人で留守番ができる程度の年齢に達していれば、簡単な食事作りや学校の準備などができるよう施設で支援します。

 

 家庭復帰のための交流プログラム(一般的な流れ)
家庭復帰に向けてのプログラムは、定期的な面会から始まり、外出、家庭への外泊と進みます。「親子なんだから……」、「元々は一緒に暮らしていたんだから」と外泊や早期の家庭復帰を希望する声もありますが、家庭への外泊までは慎重に準備を進めます。

 

ひとりひとり事情は違いますが、子どもは施設で暮らすことになった背景により、心の傷を負っています。家庭にいなかった時間も、子どもにとっては傷つきのひとつです。

 

プログラムを行う中では、児童相談所や施設の職員が子どもの話を丁寧に聞き、思いが取り残されることがないように配慮して進めていきます。同時に、保護者の気持ちや意見を聞く機会も設けています。

 

プログラムの途中で、子どもが交流に拒否を示したり、保護者が子どもの成長や現実を見て、引き取ることへの自信を失ったりすることがあります。そういった場合にも、丁寧に気持ちを聞き、時にはプログラムを中止します。そして、内容や方針の再検討を行います。

 

プログラムが始まってから帰るまでの期間は、ケースによって違いますが、最低一年の時間はかけます。段階を踏まえた交流を行ったうえで、長期休暇中に家庭への外泊を数回行い、最終的な判断を決めていくからです。

 

 〜ケース 小学校6年生 N男〜
N男は、父親からの虐待と、父親から母親への暴力があり、5歳のときに施設に預けられました。そのあと両親は離婚し、母親が親権を持ちました。

 

施設に預けてから間もなく、児童相談所と施設との話し合いが始まります。母親は、N男が小学校にあがる際に家庭引き取りを望んでいました。しかし、母親自身も暴力を受けてきたため、うつ状態となり、働くことができず、「すぐに引き取ることは難しい」と判断しました。

 

N男と母親は、施設で定期的な面会を続けます。母親自身の努力もあり、精神的に回復し、正規雇用の仕事に就くこともできました。小学校5年生になったころ、N男も「家に帰りたい」、「お母さんと暮らしたい」と明確な意向を示します。

 

N男が小学校5年生の後半に、家庭復帰に向けた具体的なプログラムを作成し、母親とN男にも提示します。そして、小学校卒業を目処に家庭に戻る準備をしていくことになりました。

 

すでに定期的な面会を繰り返していたため、次は母親と施設の外に出掛ける段階です。母親も、休みの日を利用して定期的に積み重ねました。

 

プログラムは順調に進み、週末に家庭への外泊を実施、小学校6年生の夏休みと冬休みには長期外泊を行いました。面会や外出ではわからなかった、N男の落ち着きのなさや理解の低さといった課題が見えるようになり、母親にはさまざまな不安が出てきました。

 

しかし、施設に入ってまもなくのころから母親と職員との関係もできていたため、不安や疑問を共有し、母親は安心して引き取りを迎える気持ちができました。実際に帰る前には、転校先の学校との話し合いや、母親も含めた家庭復帰後の支援体制も話し合われました。

 

N男は、中学校から家で暮らし、その後も施設の行事などがあると、顔を出したり職員と連絡をとったりしています。

 

N男の事例のように順調に進むものばかりではありませんし、事例よりも細かなやり取りが行われているのも事実です。

 

このように、家庭に戻るためには、子どもも家族も交流のトレーニングを通して関係を再構築し、気持ちを確認しながら進めています。そこには、「家族なのだから一緒に暮らすのが当たり前」ではなく、一緒に暮らすための練習期間があります。

 

「家族と暮らすことが幸せである」という、画一的な考えでは語れない子どもたちが多くいます。この事実が広く認識され、彼らやその家族が、家庭や地域に戻ったあとにも暮らしやすい社会になることで、一人でも多くの子どもたちが自分の将来に明るい展望を見出すことができます。

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