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児童福祉施設の職員は、子どもたちとどう向き合っているのか

児童福祉施設で生活している子どもたちは、大人への強い不信感や、「人生に自分の意志は反映されない」という無力感、「自分は悪い子」という自己否定イメージなど、さまざまな思いを抱えて生活しています。

 

彼らが施設という環境に身を移して、虐待を受けることはなくなっても、その要因となる物事が解決することはありません。子どもたちの複雑な思いは、日々の暮らしの中の小さな場面で、トラブルや事故といった形で繰り返し表現されます。

 

負ってきた心の傷、癒されない思いを持ち続けている子どもたちとともに暮らしている施設の職員が、どのようにして彼らと向き合っているのかを見ていくことにします。

 

 子どもの内面になにが起きているのかを考える
職員が最も大切にしていることは、今目の前にいる子どもの内面でなにが起きているのかを考えることです。子どもたちの言動は、内面と一致していないことが多いからです。

 

ある小学生の女の子は、父親から虐待を受けて施設にやってきました。やってきた頃、職員が近寄ると「お前なんかあっち行け!」、「ちかよるな!」と小さな体で叫んでいました。ここで職員は、その通りに女の子から離れたりはしません。彼女がなにを訴えようとしているのかを、やり取りを通して知ろうとします。

 

彼女が叫んだ言葉は、大人への不信感からくるものであり、甘え方を知らないゆえに身につけた、子どもなりのコミュニケーションだと理解します。言動だけを取りあげてしまえば、注意に値することかもしれません。

 

しかし、職員は注意ではなく「本当は甘えたいんだよね」、「安心して大丈夫だよ、あなたを傷つけたりはしないから」と、子どものこころに理解を示してかかわりを持ちます。

 

このような職員の反応に慣れない彼女は、しばらくは拒否的な態度をとっていました。しかし、職員の忍耐強いかかわりによって、今では「抱っこして」、「一緒に遊んでほしい」と素直に甘えられるまでに変化しています。

 

 チームでアプローチする
子どもとともに暮らしている職員は、ひとりで対応していません。施設の形態によって違いはありますが、複数の子どもを複数の職員がチームを組んで支援しています。

 

ひとりの職員の支援方針や思いだけで、子どもを支援することはありません。施設で暮らす児童全員について、年に2回、短期・中期・長期の支援目標と方針を立てます。そこでは、日常生活に関すること(基本的生活習慣、身だしなみ等)から人間関係、学校、自立に関する項目があります。

 

これは、子どものことを評価するものではありません。これまでの支援はどうだったのか、改善するべき点はどこにあり、どのように改善するのか、さらに工夫の余地のある支援はあるかといった、職員のかかわりについて具体的に検討します。

 

当然ですが、職員も育ってきた環境、持っている価値観や倫理観が違います。話し合いでは一致した方針を持てても、実際に子どもを目の前にすると対応にばらつきが生じます。共通の方針のもとでのばらつきであれば問題ありませんが、子どもに混乱をもたらしてしまうこともあります。

 

 日々のカンファレンスや会議で共通認識を図り、研修を通して自己研さんを積む
そのような混乱を最小限にして、支援方針や目標の再確認のためのケースカンファレンスや会議を頻繁に行っています。

 

ケースカンファレンスは、子どもの具体的な支援について検討します。例えば、夜尿が続く児童にどのように声掛けをするか、プライドを傷つけないような周囲への配慮のしかたなど、かなり細かい点まで話し合い、共通認識をはかります。

 

会議では認識のずれを修正したり、基本事項を確認して、チームの在り方や方向性、連携について話しあいます。

 

支援スキルの向上や、知識を習得する研修の機会もあります。そして、子どもを支援する大人として最も求められることが「人間性を高める」学びです。最近では、このテーマに関する研修も増えてきました。

 

「人として大切なこと」が施設の職員に求められており、そのために職員自身が自分の過去と向き合うことが求められる場面もあります。一般の仕事に比べて深みのある、多くを求められる職業ですが、それぞれの強みと弱みを補い合いながら、子どもの支援にあたっているのが施設職員の現実です。

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