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児童福祉施設でくらす子どもたちの18歳のその後

児童福祉施設で暮らす子どもたちは、高校を卒業すると同時に施設を退園しなくてはいけません。また、高校に進学しても中退した場合には、その時点で退園を迫られます。

 

昨今の児童福祉法の改正により、18歳を過ぎても支援を必要とする場合には、施設で生活できるという措置延長が可能となっています。しかし、1年や2年、施設にいる時間を延ばしたからといって、子どもたちの自立に関する不安や課題がなくなったわけではありません

 

施設で暮らす子どもたちの退園に向けて、職員はどのような支援しているのか、退園した後の子ども達はどのような人生を歩んでいるのかを見ていきます。

 

 退園するときの子どもの現実
退園する時点で家庭に戻る可能性のある子どもと、家庭に戻る可能性はなく自活する子どもとによって状況は変わります。さらに、就労するか進学するかによっても違います。

 

施設で子どもの支援をする際、どの年齢の子どもであっても「家庭に戻る可能性があるかどうか」という点を第一に考えます。子どもが施設にきた早い段階で、可能性を探る作業を始めます。

 

家庭に戻る可能性があるのは、在園時に家庭との関係調整の支援を継続しており、家庭での生活が可能と判断されたケースです。多少、経済的に困難な場合でも、子どもが就労する場合は、子どもも家庭生活を支えるという意識を持ちます。就労や進学に向けての準備を進めながら、家庭に戻る準備もします。

 

家庭に戻る可能性はなく自活をする場合、まずは子どもがその意識を持つことが必須となります。そして高校を3年間通い続けることが大前提となり、その間にアルバイトをして将来のための貯金をします。また、一人暮らしを想定して自活訓練をする場合もあります。

 

就労をする場合、従来の児童福祉施設では退園する直前に職員の知り合いを頼ったり、高校の求人票やハローワークに通ったりして就職活動をしていました。

 

現在は、高校進学後の早い時期から、「自分にはどのような職業があっているか」を知る機会があったり、インターンとして働く体験を積むといった機会を設けたりして丁寧な準備をしています。

 

 退園後の子どもたちのこころ
家庭に戻るか戻らないか、就職するか進学するかによって、ひとりひとりの心のうちは全く異なります。どんなに十分な準備をしても、確固たる安心感を持って退園していく子どもはほとんどいません。
 
「やっとうるさい職員がいなくなる」、「やっと自由になれる」と開放感はあるでしょう。また、「新しい場所で頑張る」、「家族と暮らせる」という期待もあるでしょう。しかし、一方では大きな不安も抱えています。

 

家に帰れる子どもでも、18歳まで施設で暮らしていたということはなんらかの事情があったからです。これまでは、施設と家との距離があったことによって、家族との直接のぶつかりあいを避けられたり、家族や自分の過去から目をそむけられたことも多くあります。

 

しかし、退園のその日から、「家族」とともに暮らしが始まります。離れてから長い間に築き上げた習慣やペースを再び合わせ、ともに暮らすことへの不安は計り知れません。

 

18歳まで施設で暮らす子どものほとんどが、家庭に戻る可能性がほとんどありません。18歳の頃に戻ったあなたが、ある日突然社会に放り出されることを想像してみてください。施設にいる間に多くの準備をして、頭では理解していても、それは「ある日突然」やってきます。

 

家賃や食費といった生活費のやりくり、新しい仕事、そこでの人間関係、そしてそのすべてをバランスよく回すことができなければ、安定した生活は送れません。仕事で困ったとき、人間関係で悩んだとき、金銭面が立ち行かなくなったとき、食事が十分にとれなかったとき、多くの子どもたちが一人で抱え込んでしまいます。

 

施設の職員と良好な関係を築いている子どもは、職員に連絡をしたり施設を訪れたりして充電し、明日からの生活に戻っていけます。しかし、18歳という多感な時期に反発して施設を後にした子どもの多くは、だれにも相談できずに生活が立ち行かなくなりホームレスになったり、自ら命を絶ってしまう場合も少なくはありません。

 

児童福祉施設で暮らした体験のある子どもたちは、一般家庭で育った子どもに比べてはるかに忍耐強く現実をとらえる力があり、コミュニケーション力に優れています。彼らの実態が適切に理解され、「かわいそうな子」ではなく、「特別な体験や力を持ったスペシャルな存在」だと認知される日本社会になることを願います。

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