社会全体で子どもを育てること、その実態について

児童虐待や子どもの貧困について、新聞やテレビで毎日のように取り上げられています。ニュースを目や耳にしたとき、皆さんはどのような感想を持ちますか。

 

「ひどい親だ」、「かわいそうな子どもたち」…よく聞く言葉です。その言葉には、「自分はいい親だ」、「私の家族はそうはならない」という考えが隠れていませんか。

 

しかし、この背景には他人事ではなく身近に起きていること、あるいは自分にも起こる可能性のある、とても日常的な要因があります。

 

親と離れて、児童福祉施設という場所で暮らしている子どもたちがいます。彼らは、施設でどのようなサポートを受けているのでしょうか。これらの実態や背景、社会制度について見ていくことにします。

 

 社会的養護とは
厚生労働省は「社会的養護」について、「保護者のない児童や、保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと」と位置づけています。

 

また、子どもが最善の利益を得るために社会全体で子どもを育てることを理念としています。

 

 どのような場所で社会的養護が行われているのか
社会的養護は、「家庭養護」と「施設養護」に分けられます。「家庭養護」とは、里親やファミリーホームがあり、「施設養護」には乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設(児童心理治療施設)、児童自立支援施設、母子生活支援施設、自立援助ホームがあります。

 

平成26年10月現在では、約46,000人の子どもたちがそこで暮らしています。

 

厚生労働省によると、この十数年で児童養護施設の入所児童数はわずかに増えました。乳児院では約2割増、里親委託は2.7倍と、社会的養護を必要とする子どもは社会全体で増加傾向にあります。

 

 社会的養護を必要とする子どもたちの背景にあるもの
施設の措置理由で最も多いのが「虐待、放任、怠惰、虐待酷使、遺棄、養育拒否」と全体の37.9%(平成25年度)を占めており、これに次ぐ理由が「両親の精神疾患」で12.3%となっています。

 

経済問題や離婚といった環境要因ではなく、関係性に端を発した子育てに関することが理由になっていることがわかります。

 

一言に「虐待」といっても、その背景には多くの困難があり、子どもたちは想像を超える過酷な状況に置かれてきたことが様々な研究で明らかになっています。

 

 この現状をどう捉えるか
虐待のニュースが流れると、「親が悪い」、「虐待するなんてひどい親」、「子どもがかわいそう」という言葉を耳にしますが、果たして本当にそう言えるでしょうか。

 

虐待や放任に至るまでには、精神的、経済的、物理的に誰にも相談できない孤立感疎外感を抱いている家族がほとんどです。

 

気持ちの余裕もない上に、経済的な余裕もない状況で、子どもが言うことを聞かず、学校でも問題を起こしている毎日を繰り返していることもあります。

 

あるいはたった一人で子育てをし、子どもに食べさせるものを稼ぐために昼夜問わず働かざるを得ない人もたくさんいます。日々疲れ切った上に、小さな子どもがいれば、感情に任せて怒鳴りつけてしまう可能性は誰にでもあります。

 

虐待と言われる背景には、親自身も精いっぱいの努力や忍耐、苦労をしています。それでも状況が改善されない実情もあります。子どもたちはその狭間に陥ってしまったのです。

 

虐待という行為は、けしてしてはいけません。しかし、虐待をした(している)親を批判することが解決に繋がるとも思えません。そして、子どもたちを施設に預けるだけでは解決しない複雑な課題がそこにはあります。
 
ひとりひとりが、他人事ではなく、身近にこのような実態があることを知ること、「ひどい」、「かわいそう」ではなく、その背景にどんな状況があるのか想像力を働かせて考えてみることが、解決の一歩につながります。

 

普段付き合っている気心知れた仲間との世界から少し視線を外し、自分の暮らしている地域がどのような地域なのか、どういう人たちが暮らしているのかを見渡してみるのもいいかもしれません。

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