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虐待の子どもへの影響〜学習・学校〜

幼い年齢で虐待を受けた子どもたちは、学習に課題を抱えています。知能的な課題もありますが、それよりももっと深刻な虐待の影響があります。

 

虐待は、心に傷を負わせるだけでなく、脳の発達にも影響があると言われています。実際に虐待を受けた子どもの脳を見ると萎縮しているのがわかります。それは落ち着きのなさやキレやすさ、ぼうっとしているといった行動につながります

 

小学校に通う年齢に達していても、通わせてもらうことができない子どももいます。彼らは保育園や幼稚園にも通っていませんし、通っていても親の都合で行ったり行かなかったりが繰り返されていました。

 

学習を受ける機会が与えられないため、他の子どもたちと学力に差が出てしまいます。ここでは、子どもたちが小学校や中学校に上がり、学校や学習場面で直面する困難について見ていくことにします。

 

 ケース 〜中1 Y男〜
Y男はネグレクトの家庭で育ちました。母親は重度のうつ病で、たいてい一日中寝ています。調子が良いときでも、午前中はほとんど起きることができません。

 

母親が病気になったのは父親と離婚したあたりで、Y男は幼稚園児でした。小さいY男は、自分で身支度をして幼稚園に行くことはできず、年長クラスはほとんど通っていません。小学校は自宅から近かったため、担任が迎えに来たりして通えるときもありましたが、一年の半分くらいしか通えていません。

 

小学校4年生のとき、母親の病気がさらに悪化したため、児童養護施設にやってきます。施設にいると、毎日学校に通うことができます。しかも、施設の子どもたちも同じ学校という心強さがありました。

 

Y男は、4年生の勉強がまったくわかりません。45分間の授業に座っているのが苦痛で、かき乱すこともあり、施設には頻繁に担任から連絡が入ってくるようになります。施設では、基本的な学習をやり直そうと職員が課題を持ちかけますが、4年生なのに1年生の学習をすることへの抵抗があり、取り組みません。

 

それでも、なんとか小学校を卒業し、中学校に進学します。Y男の学習のつまづきは小学校2年生の掛け算や割り算にあるため、さらに難しくなった中学の勉強などわかるはずがありません。授業には出ず、先生に反抗し、登校したけれど学校には行っていないことが繰り返されるようになりました。

 

Y男は、学習の基礎ができていないことによって、その後の学習の理解ができません。学習だけでなく、取り組む姿勢や生活態度全般にも大きく影響します。学校に行けていなかった期間の学習補助ができる家庭ではなかったことも、Y男のつまづきを大きくします。施設にきてから、さかのぼって復習をすることもありますが、その間が長すぎると、子どもはやる気を損ねてしまいます。

 

 ケース 〜小3 U子〜
U子は、重篤な身体的虐待により年長のときに施設にやってきました。施設で暮らし始めたころから落ち着きがなく、イライラしやすく、思い通りにいかないと感情が爆発して止められなくなることが繰り返されてしました。

 

小学校に入学し、学習が始まるようになると、その傾向が顕著になります。現在3年生になります。毎日学校には通っていますが、ほとんど理解できておらず、時計を読むこともできません。

 

施設では、マンツーマンで教えてもらえる学習ボランティアの方に来てもらい、落ち着いた時間を過ごしながら、少しずつ学習の基礎を学びなおしています。ボランティアにU子が「授業中にしーんとしてると、お父さんに殴られたときのこと思い出しちゃうの」と話したことがあります。

 

子どもの中には、授業中や学校生活のふとした刺激によって、虐待のフラッシュバックが起きていることがあります。フラッシュバックとは、虐待によるトラウマ反応のひとつです虐待環境にない状態で、過去の強烈な恐怖体験やその時の感覚が、あたかも今起きているかのように鮮明によみがえってくることを言います。

 

U子が落ち着きがなかったり、イライラしやすく感情が爆発していたのは、この影響でした。すぐに施設で心理療法によるセラピーを開始し、虐待の回復を目指しています。

 

虐待を受けてきた子どもたちは、さまざまな学習場面でつまづきを感じています。そのきっかけは、大人が見過ごしてしまうようなことも多く、放置していると、学習の遅れや子どもたちの無力感につながってしまいます

 

児童福祉施設では、学習ボランティアを活用したり、小学校入学前に多少の学力をつけておく工夫や、公文式を導入するなど、学習補助にむけてさまざまな取り組みを行っています。

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