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虐待を受けた子どもが回復するとき〜衣生活〜

親が精神的に余裕を失っていたり、精神的疾患の場合、子どもの生活の基本的なところまで目が行き届かないことがあります。あるいは、子どもが親の感情のはけ口となっている場合、十分なものを与えられないこともあります。

 

虐待という環境において、最も影響を受けやすいのが、人間の基本的生活である衣食住です。今回はそのひとつの「衣生活」について見ていくことにします。

 

 虐待環境の衣生活への影響
虐待環境とひとことで言っても、その実態はさまざまです。経済的に余裕がない状態が慢性化していると、冷暖房器具を買うことができません。そのため、子どもの手足は極度に乾燥し、季節に合わせた十分な衣服が整っていなかったりします。

 

親が身体的、あるいは精神的疾患を患っていて子どもの世話が十分にできていない場合には、十分な衣服が整っていないことがほとんどです。加えて、洗濯や着替えが行き届かず、毎日同じ服を着ていて汚れや臭いが目立ったり、破れてしばらく時間が経っているような服を着ていたりする場合があります。

 

このような状態が続くと、子どもたちは季節感を育む機会を失い、季節に合った衣服を着る習慣を身につけることができません。また、下着を毎日取りかえることや、汚れた衣服を洗濯して清潔を保つといった、一般的に当たり前だと捉えられている感覚や習慣が育たないまま大きくなります。

 

また、部屋の中が整理整頓されていて、自分の衣服スペースが確保されていることは、ほとんどありません。たいていは、自分の衣類がどこにあるのかわからず、寒いからとりあえずそばにあった服や、昨日着た服を着たりします。

 

子どものプライベートが大切にされていないと、自分と他者の境界があいまいで、人の物を勝手に借りたり、取ってしまうといった行為につながりやすくなります。結果的に、学校生活や友人関係にも影響を与えます。

 

このほかにも、一日中、一年中雨戸を締め切ったままの家で、学校にも行かずに生活していた兄弟がいました。施設にきたときには高学年になっていましたが、自分が着る服をどのように選んだらよいかわからず、職員のサポートを必要としました。

 

身体を動かす習慣もなかっため、体力はなく、毎日学校に行って身体を動かすという生活になって、頻繁に体調を崩していました。

 

 施設職員の工夫
このように、「衣生活」ひとつとっても、虐待環境の子どもへの影響はとても大きいです。子どもたちに身に付かないままにきた感覚や習慣は、早めに対応しなくては、彼らが大人になっても影響を与えます。子どもの年齢を考えると、できて当たり前のことでも、できて当たり前、やって当たり前ではなく、職員は過去をさかのぼって根気強くかかわります。

 

@「自分のもの」という感覚を育てる
下着を含めたすべての衣類に名前を書き、自分のものと分かるようにします。また、個人
の収納スペースを作り、自分でも整理できるような環境を整えます。周囲の子も同じ対応
をすることで、自分と他人の境界も学ぶ機会にしています。

 

子どもが、自分で好みの洋服を選ぶこともたいせつにしており、職員と買い物に出かけることもあります。

 

A整理整頓のしかたを覚える
大きくは夏物と冬物に分けます。また、これまでぐちゃぐちゃに丸めて置いてあった洋服
を、どのように整理すれば選びやすいか、取り出しやすいかなどを教えます。

 

B清潔や健康を保つ習慣を身につける
下着は毎日洗濯し、新しいものを身につけると心地が良いという感覚を育みます。また、汗をかいたら着替える、寒くなったら着るといったことも、日常の活動を通して伝えていきます。

 

C将来に向けてできることをする
コーディネートや季節感に配慮しながら、その日着る洋服は自分で選べるように促します。
基本的な習慣が身につき、ある程度の年齢になると、自分の物は自分で洗濯したり、アイロンがけができるようサポートしています。

 

毎日同じ洋服、汚れた洋服で通っていて、友達集団から外されたり、嫌がらせを受けていた子もいます。

 

このようなかかわりの積み重ねによって、子どもたちは少しずつ「衣生活」に関する感覚と習慣を身に付けていきます。それは今後、大人になって一人で生活していく上で、生きる力となっていきます。

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