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虐待を受けた子どもが回復するとき〜関係に変化が起きる〜

「親の背中を見て子は育つ」といったように、子どもは親や家庭で学んだことを、生きていくためのレシピとして習得して育ちます。両親がともに教師の家庭に育つと、子どもも教師を目指したり、親が医者だと医療関係を仕事とする子どもが多いといったことは、その一例と言えるでしょう。

 

子ども虐待も同様です。特に虐待は、人とのかかわり方、関係の取り方に大きく影響を与えます。暴言や暴力を介した親のかかわりが「当たり前」と捉えて育ち、習得した子どもは、幼稚園や学校でそのような関係を展開します。

 

暴言や暴力を介して人とかかわれば、当然相手は不快感を抱き、遠ざかります。幼稚園や学校では問題行動として扱われ、注意を受けることが多くなり、自己否定感を強めます。周囲からも孤立し、孤独感でいっぱいになります。

 

このような虐待環境によって習得した関係性から、子どもたちはどのように回復していくのかについて見ていくことにします。

 

 虐待はどんな関係を育むか
虐待は、一方的な暴力行為です。一方的に親が子どもを、暴力や暴言、性や放置という方法で「支配」をします。従わなければ、それ以上の制裁が加えられてしまう、絶対的なコントロール下に子どもは置かれています。

 

支配されることを習得した子どもは、自分より強い存在には素直に従います。大きな体の職員や、学校の先生の言うことはとてもよく聞きます。一方で、弱い存在を見つけると支配することを学びます。自分より年下の子どもや、若い女性職員に対して、支配しようとします。このように虐待行為は「支配関係」を育みます

 

さらに、「被害関係」も育まれています。子どもたちは、一方的に暴力を受け続けてきた被害者です。それによって無力感無価値観が生まれます。子どもたちは自分が悪いことをしたり、否のある立場になると認められずに、必死で自分を守ろうとします。見え透いた嘘や、ときにはまったく関係のない人を理由にすることもあります。

 

理不尽なやり方で被害者であらざるを得なかった過去の積み重ねによって「自分のせいじゃない」、「悪いのはあいつだ」という認識が強く刻まれます。自分の否を素直に認めず、被害者となって身を守ります。

 

 支配や被害の関係からの変化
いったん学習し、刻まれた関係を変化させることは、とても困難です。言葉や、一度きりのかかわりで変化させることは不可能です。

 

児童福祉施設では、子どもたちが学習してきた支配や被害の関係が頻繁に見られます。例えば、自分の思い通りにしたいとき「言うことを聞かないとあとで覚えてろよ」、「職員に言ったら許さないからな」といった脅しの言葉や暴力を使ったりします。

 

このような関係は、人に不安や恐怖を抱かせるため、力の弱い小さな子どもたちは抵抗できず、巻き込まれてしまう可能性があります。施設職員は、子どものこのような関係の取り方に巻き込まれないよう注意したり、職員間でフォローしあったりします。

 

職員は、子どもたちのこうした言動を頭ごなしに注意することはしません。「本当はこうしたいのではないか」とその子が願っている、こころの奥にある気持ちに目を向けるよう心がけています。

 

また、このような関係を身につけた子どもに対して毅然とした態度で向き合い、「そのようなやり方で人を動かすことはよくないことである」と伝えます。同時に、「どういう方法ならば人は心地よく協力できるのか」といった代案を教えます。

 

このようなかかわりを長い間積み重ねていくと、はじめは反抗したり、さらに暴力的になっていた子どもたちの中には、人との関係の取り方に変化を見せ始める子もいます。支配や被害といった関係に違和感を抱き、人と良い関係を築くには暴言や暴力では成立しないということを体得していきます

 

暴力以外の関係でいることによって、人とうまくコミュニケーションが取れ、自分もおだやかに過ごせることを知ったとき、すでに虐待からの回復は始まっています。

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