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虐待を受けた子どもが回復するとき〜環境づくりの工夫とその影響〜

児童福祉施設は、それ以前に別々の家庭で、まったく違った生活スタイルを送っていた子どもたちが集まって生活しています。支援する職員も、それぞれ価値観の違う家族・家庭で育ち、それぞれの経験を土台にした考え方を持って子どもたちと暮らしています。

 

共通の志を持った他人同士が、ともに生活する大学の寮とは、ひとくちに生活といってもまったく違います。

 

違う種類のパズル(例えばディズニーのキャラクターと富士山と動物など)のピースが集まり、一つのまったく新しいパズルが完成するようなイメージの生活と表現できるかもしれません

 

また施設は、同じメンバーで暮らし続けることが不可能な場所でもあります。18歳になれば退園になりますし、その間にも家庭に復帰できる場合には退園していく子どももいます。それまでともに暮らしていた子どもが去り、新しく暮らす子どもがやってくるということが繰り返されます。

 

このような施設の生活環境の中で、職員がどのような知恵や知識を働かせて環境づくりを行っているか、それによって子どもたちはどのように回復していくのかを見ていきます。

 

 出入りのある生活環境で子どもはどう反応するか
施設は、家庭への復帰や退園などが行われる年度替わりに、生活するメンバーが変わります。さらに、担当職員の入退職や配置換えがある場合、そこに残る子どもたちのこころは揺れます。

 

特に、家庭に帰る子どもたちを見送る際やそのあと、施設に残る子どもの中には、ある種の敗北感や再度の見捨てられ感とともに、「自分にはいつお迎えがくるのか」、「お父さんお母さんはどうしているのか」という、先の見えない不安が沸き起こります。

 

家に帰れない自分と向き合うことは、こころが未熟な子どもたちには厳しい現実です。じっとなにかを抑えるようにして退園の様子を見つめている子、職員への甘えが強くなる子、不安を言葉にして泣きながら眠りにつく子など、気持ちが乱れない子どもは一人としていません。

 

 職員の環境づくりへの工夫と配慮
年度替わりだけでなく、日々のくらしの中に、子どもたちのこころを揺るがす刺激は散らばっています。例えば、友達の保護者の姿が見える学校の授業参観や3者面談、学校行事などは代表的でしょう。

 

以下に、職員が意識的に行っている工夫や配慮をあげます。
あなたはここにいるべき存在というメッセージ
職員が最も大切にしていることは、ひとりひとりの存在を受け入れ、認めることです。日々の生活で、トラブルや問題行動を起こしても、頭ごなしに叱るのではなく、それをした理由や気持ちを聴くように心がけます。

 

さらに、そこで暮らす子どもの写真を額に入れて飾ったり、賞状や作品をみんなが見られる場所に飾ったりしています。

 

その子だけのもの、を作る
以前の施設では、食器やタオルなどは共用でした。しかし最近は、個人のものを置くようにしている施設も増えてきました。すると子どもたちは、「自分のもの」として、たいせつに使うようになります。

 

そして、同じようにたいせつに使っている周囲の子どもたちのものもたいせつにしようという意識が生まれます。

 

誕生日にお祝いする
20人程度の子どもたちがともに生活していた大舎制だったころは、職員の勤務の都合により、同じ月の誕生日の子どもをまとめてお祝いしていました。しかし、個別的なかかわりが重視されている今では、誕生日当日にお祝いすることが当たり前になっています。

 

刺激を少なくし、こころ休まるような環境への配慮
家具等の色や配置も工夫しています。そこに生活する子どもの特徴に合わせ、刺激を少なくし、観葉植物や生き物を飼ったりして、安らぎのある環境づくりも心がけています。

 

しかし、上記のような工夫と配慮をしたからといって、問題がなくなることはありません。子どもたちが朝起きたときや、外から帰ってきたとき「ここが自分の家だ」と感じられることは、今日一日を快活に生きるエネルギーや、安心して眠りにつける材料となります。

 

おだやかに過ごせた一日一日の積み重ねが、安定した生活につながり、こころの安定につながります。そのために施設職員は、目が届きにくい部分にも意識的に、細やかにこころを向け、子どもの安定につなげようとしています。

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