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虐待を受けた子どもが回復するとき〜環境のちから〜

虐待によって傷つきを受けた子どもたちは、児童福祉施設にやってくると傷つきからの回復を目指した支援を提供されます。

 

最もわかりやすいのが、施設にいる心理療法士や児童相談所の児童心理司によるセラピーやカウンセリングです。そのほかにも、生活のさまざまな場面で工夫されたケアがあります。ここでは、ケアの土台となる環境について考え、環境がどのようにケアにつながるのかを見ていきます。

 

 家庭から施設にくること
虐待が行われていた場所から安全な場所へ移ることは、最優先事項です。子どもにとっては、安全や安心につながるだろうと大人は思いますが、必ずしもそうではありません。

 

たしかに身の危険からは守られますが、それまで耐え忍び、自分を支えていた慣れ親しんだ場所の空気感、導線、におい、生活の音といった感覚的な、目に見えない自分の身体になじんだものから離れる体験でもあります。

 

それは、子どもたちに寂しさや不安、引き離されたという感覚をもたらします。施設のくらしの中で子どもがふと「おうちに忘れてきたおもちゃがある。取ってきてほしい」、「おうちのお風呂はもっとせまかったけど気持ちよかった」、「家の周りはこんな家があって、近くにコンビニがあった」と言うことがあります。

 

これらの言葉には、さまざまな思いが込められていると考えられます。子どもたちの中には、いろいろな方法で家の記憶が残されています。

 

家庭は、子どもにとってひどいことをされた場所でありながら、大切な場所でもあります。その思いをくみとりながら、施設生活をどう送っていくのか、そこで子どもが回復するためにはどのような工夫が必要かについて、施設職員は考えながら支援をしています。

 

 くらしの中で子どもの思いをくみとる
生活は、心理療法ではありません。大人が知りたいこと、聞きたいことを改まった場を設けて聞くこともあります。たいていは、くらしの中で子どもが発する言葉や反応をくみとっていきます。

 

前述したような言葉が発せられたとき、それが真実か否かではなく、言葉の奥に込められた思いを想像します。「家に帰りたいのかな」、「施設で嫌なことがあって寂しくなったのかな」、「お父さんやお母さんのことを思い出したのかな」などと考えながら聞いていると、子どもは家にいたときのことを話してくれるようになります。

 

たいせつなことは、そのような事実があったかなかったかではありません。子どもが家にどのような思いを抱いていて、今どのような気持ちで暮らしているかを職員が知っていること、常に知ろうとする姿勢であることです

 

 同じ毎日がくること、それが「当たり前」になること
同じ毎日がくることを、「刺激がなく成長もない」と感じる人もいるでしょう。施設に来る前の子どもたちは、身の危険を感じたり、「してほしい」と願うことがかなわなかったり、「食事や睡眠がいつ取れるのか」といった先の不安を抱えた生活を送ってきました。

 

施設にきて間もなくは、なじんだ感覚と違っているために反応を起こす子どももいます。しかし、毎日同じような時間に起きて、食事をして登校する、帰ってきて宿題をしてお風呂に入って夕食を食べて布団に入る、といった暮らしが繰り返されることが大切だと考えています。

 

くらしの「当たり前」は、子どもたちに安心感をもたらしてくれます。安心して眠れる、安心して食事が食べられる、安心してお風呂に入れるということが、生活にうるおいを与えます。その感覚を獲得した子どもは、主体的に生活を送り、アイデアを存分に発揮して生活を楽しむようになります。

 

季節や通年の行事もたいせつです。年越しやお正月はもちろんのこと、2月の節分の豆まき、5月のしょうぶ湯なども行います。毎年同じ日(時期)に、同じ行事を繰り返すことによって、季節感覚や先を見通す力につながります。

 

安定的な環境を整え、提供し続けることは、子どもたちの基本的安心感につながります。基本的な安心感が土台にあることで、子どもたちは生きるエネルギーを回復します。このことこそが、治療であると考え、施設職員は日々あらゆる工夫に頭を悩ませています。

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