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虐待を受けた子どもが回復するとき〜家庭の体験〜

児童福祉施設は、子どもたちが安心・安全に暮らし、社会に出て自立できる大人に成長するために、適切な養育や環境を提供している場所です。特に児童養護施設は、2歳から18歳までの子どもたちが対象となり、施設で生活する期間が他の児童福祉施設に比べて長くなります。

 

児童養護施設に預けられる背景には、虐待や、保護者の精神的課題があります。家庭環境を整えるためには多くの時間を要するため、1年や2年といった短期間で施設を退園して、家庭に戻ることはほとんどありません。

 

それどころか、乳児院から児童養護施設にやってきた子どもの中には、家庭への復帰がなければ18歳まで、最長で16年間を施設で暮らすことになります。

 

長い時間を施設で暮らし、年齢を重ね、結婚や出産をして自分の家庭を持つことになったとき、「育て方がわからない」、「相談できる人がいない」、「家庭というものがどういうものかわからない」と悩み、苦しむことがあります。

 

児童養護施設では今、目の前にしている小さな子どもたちが、大人になり、親になったときのことを見据えてさまざまな支援をしています。その一つに、家庭の体験ができるための工夫があります。今回は、子どもたちが施設で家庭の体験をすることによって、どのような回復の道を歩むのかについて見ていきます。

 

 施設自体を小規模化し、家庭に近い形態にする
以前の児童養護施設では、10人、あるいは20人の子どもたちが集団で、大きな部屋で衣食をともにしていました。しかし現在は、生活する人数を減らし、なるべく家庭に近い形態にする動き(小規模化)があります。

 

小規模化によって子どもに個室が与えられプライバシーが守られるようになりました。また、それまでは食器や文房具も共有で使っていましたが、ひとりひとりのものが与えられるようになりました。

 

さらに、職員一人に対する子どもの人数が少なくなることによって、より丁寧に子どもとかかわることができるようになります(個別化)。以前は大人数の職員が大勢の子どもたちを見ていたため、出入りもおおかったのですが、一つの生活単位にかかわる職員の数も限定され、刺激も少なくなっています。

 

 職員の実家に泊まる
施設によって考え方に差があるため、この取り組みにはばらつきや賛否両論があります。長期休暇中に職員の実家に子どもを泊まりにつれていく施設もあります。

 

ある施設では、年末年始に職員が実家に帰省する際に、担当の子どもを連れていきます。施設で長く育ったAさんは、毎年同じ職員の実家に帰っていました。そこでは、職員の両親や兄弟が迎えてくれ、お正月にはおせち料理やお餅を食べたり、夏には海に行ったりと、家族とともに過ごします。

 

毎年行くにつれ、家族もAさんを家族と同じように受け入れるようになります。Aさんが思春期に差しかかり、反抗的な態度を取っても、家族は温かく見守ってくれました。

 

大人になったAさんは、「あの体験があったから、家族を知らない自分が、家族ってこういうものだと知ることができた」、「家族ではないけれど、ふつうに受け入れてくれて本当に感謝している」と振り返ります。

 

 疑似家族でも、子どもは回復する
施設の小規模化も、職員の家族も、子どもにとってはあくまでも疑似的な家族体験です。彼らには、本当の家族がいます。もちろん、本当の家族と疑似家族の間で、子どもの心は揺れ動きます。

 

そのとき、子どもたちは「自分の家族はどこにいるのだろう」、「本当に帰りたい家はここではない」と思い、職員にぶつけることがあります。中には、「自由になりたい」、「家に帰りたい」と施設の生活に反発して、飛び出してしまう子もいます。

 

子どもが表現している現象だけを取り上げて、「良いか悪いか」を議論し、対処療法的に対応したり、支援の方向性を出すことにあまり意味はありません。子どもの育ちを長い目で見たとき、今この体験が、子どもにとってどのような意味を持つのか、を考えることが支援のはじまりです。

 

そこには、「本当の家族が良いもの」、「疑似家族だから欠けているものがある」という従来の考えを取り払う必要があります。児童養護施設で育つ中で、子どもたちが一人でも信頼できる大人の存在を見つけ、安心して社会に飛び立てるように、あらゆる機会をつかんで支援をしています。

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