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虐待を受けた子どもが回復するとき〜生い立ちをたどる〜

正月や冠婚葬祭で、親戚が集まると必ず「あんたは小さい頃おてんばだったのよ」、「あんたのお母さんはね……」と小さい頃の話を聞かされたものです。また両親が、自分が生まれたときのことや、赤ちゃんの頃のエピソードや名前の由来を話しているのを聞いたこともあります。

 

母親のおなかの中にいたときに、両親に見守られていたこと、生まれたときの状況、生後間もない小さな自分を見つめる両親のまなざし……そんな話を聞くのは、成人しても嬉しく、満たされる思いになる人は多いと思います。

 

「自分はたいせつに育てられたのだ」と思うだけで、こころの波風がおだやかになり、与えられた命をたいせつにしようと思います

 

最も身近な親から虐待を受け、親と離れて暮らしている児童福祉施設の子どもたちは、自分の生い立ちをどのように振り返るのでしょうか。施設職員の工夫とともに見ていきます。

 

 生い立ちを知ることができない
子どもたちは、自分の中にある疑問や思いを、日々の暮らしの中で職員につぶやきます。「お母さんに会いたい」、「うちって小さい頃、どんな子だったのかな」、「赤ちゃんの頃、ずっと泣いてたんだって」と、わずかに覚えていることを話します。時にそれは、子どもの願いが込められている場合もあります。

 

一般家庭の子どもは、自分のタイミングで両親に聞くことができます。しかし、施設で暮らす子どもたちは、日常的に親から幼少期のエピソードを聞いたり、自分が聞きたいと思ったときに知ることができません。

 

中には、親とまったく連絡が取れなかったり、所在はわかっていても、親との交流を持てなかったりする子もいます。彼らは、自分の育ってきた歴史を知るチャンスがありません。

 

自分の過去と今がつながっているという感覚をはぐくむことが、非常に厳しい環境に置かれています。

 

 職員の工夫
自分の親がどういう人だったのか、自分はどのように、誰に育てられてきたか、たいせつにされてきたかという記憶は、この先の人生を歩むうえで土台となります。施設を退園して大人になったとき、自分を受け入れ、自分の足で生きていくための力となります。

 

子どもは「親から見捨てられた」、「親は自分のことが嫌いなんだ」と思いこみ、「自分のせいで施設にきた」と捉えていることが多々あります。親について知ることは、こころに痛みを伴いながらも、「なぜ施設に預けられなければならなかったのか」を知ることであり、子どもの思い込みから解放し、安心につなげる作業となります。

 

そのため施設の職員は、子どもたちの年齢発達や状況に応じて、出生や生い立ち、家族の状況について伝えるよう努めています。その方法として、児童相談所と連携して「生い立ちの整理」や「ライフストーリーブック」という取り組みが行われています。

 

上記の取り組みにとどまらず、日々の生活の中でも生い立ちにかかわる支援をしています。子どもたちは入浴中や就寝前など、職員と二人きりになったときに、親や自分の過去についての思いをつぶやくことがあります。

 

そのようなとき職員は、子どもが語る思いに寄り添い、耳を傾けます。そして、具体的に知りたいことに話が及んだときは、児童相談所や関係職員とともに、子どもにどのような情報を、いつ、どのように伝えるかを検討します。

 

伝える作業は、言葉で言うほど簡単ではありません。ひとつひとつの言葉にも検討を重ね、配慮し、丁寧な準備をします。伝える場の環境も工夫をし、伝えたあとの子どもへの影響も考え、フォローアップ体制も検討します。

 

 生い立ちをたどった先に
生い立ちを振り返る作業には、痛みや苦しみが伴います。親のことや出生、そのあとの生い立ちを知るとき、子どもたちの心は揺れます。自分が思い描いていた事実と違っていることもあれば、事実を知ったことで膨らませていた期待をあきらめざるを得ないこともあるからでしょう。

 

しかし職員のフォローアップや、伝えてしばらく時間が経つと子どもたちは息を吹き返したように元気を取り戻すこともあります。たいせつなことは、今すぐの安定よりも、子どもたちが大きくなって施設を巣立ったとき、「自分には価値がある」と思えることです

 

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