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虐待を受けた子どもが回復するとき〜大人のあり方〜

児童福祉施設でくらす子どもたちは、さまざまな心の傷を抱えています。その傷は、ひとつだけでなく、複数のものが複雑にからみあって、彼らの心の中にひそんでいます。

 

大人への不信感や、自己価値の低さ力の強い他者への服従弱いものに対する支配といった傷は、日々の暮らしや人間関係のなかで展開されます。その傷は、暴言や暴力、万引き、いじめ、自傷行為、引きこもりといった、自分や他者を傷つける行為に変化して表れます。

 

児童福祉施設では、子どもたちの今、あるいはその先の人生において、自分をたいせつにできる人になること、自分に価値を見出せることに重点を置いて支援をしています。

 

支援の工夫のひとつに、かかわる職員の在り方を見直すという点があります。職員の在り方は、生活のあらゆる側面で子どもに影響します。今回は、職員の先入観という視点から、子どもの回復について見ていきます。

 

 なぜ職員(大人)の在り方なのか
昔から、子どもは親の背中を見て育つ、と言い伝えられてきました。どんな家庭においても、子どもにとって親というのは絶大なる存在です。もっとも、小さな年齢においては、親や家庭が世界のすべてです。子どもは親の真似をし、親の考えや行動がすべて正しいと思い、育ちます。

 

例えば、仲が悪く、お互いに相手の悪いところばかりを指摘しあい、言い合いばかりで、ときに暴力に発展することがある両親のもとに育つ子どもは、親から何を学ぶでしょうか。

 

両親はいつもケンカをしている、相手の悪いところは指摘する、感情にまかせて相手に暴力を振るってもよい、といったことを学びます。

 

このように、職員(大人)の在り方は子どもたちの行動や考え方と言った、育ちを支えるものに大きく影響を与えます。

 

 児童福祉施設と一般家庭の違い
児童福祉施設の職員は、一般家庭以上に、職員の在り方について意識する必要があります。なぜなら、複数の職員がチームで子どもの育ちを支援しているからです。

 

職員も親と同様、それぞれが違う環境で育ってきました。身についている習慣や常識も違えば、考え方や価値観も違います。

 

一般家庭との大きな違いは、あらゆる側面で違いを持った大人が複数存在し、同じ子どもたちを支援するという点です。それぞれの職員が、自分が育てられたように子どもにかかわれば、当然子どもは混乱します。

 

夫婦は愛し合い、理解しあって結婚し、子育てをしています。しかし、職員は同じ志を持って施設にやってきたものの、仕事という役割を通して、子どもの暮らしや育ち、人生にかかわっています。

 

 職員の苦悩と、子どもへの影響
ともに働く職員は、経験年数も違えば、お互いの過去を多くは知りません。互いの習慣や価値観の違いという壁に、日々ぶち当たります。これは、職員にとっても自分の生い立ちや習慣を見直す機会となります。それだけでなく、相手のそれも理解しながら、日々の対応をしなくてはいけない大変さがあります。

 

また、職員の都合による入退職、人事異動によって、ともに働くパートナーが変わることによって、これまで積み上げてきたものが崩され、お互いを理解するという点において、一からのスタートとなります。

 

子どもたちにとっては、職員の育ちや入退職は、大人の都合です。しかし、職員間がお互いに理解しあい、うまく回っていたり、長期間同じメンバーで働くことができれば、それほどの問題はないかもしれません。

 

しかし、児童福祉施設の現場は、そううまくはいきません。子どもから暴言や暴力を受け、精神的に不調をきたしたり、時間外勤務の多さから体調のバランスを崩すこともあります。結果的に、職員の入れ替わりが激しい現場となります。

 

また、膨大な量の仕事による多忙さで、職員間のコミュニケーションをとれる時間も多くはありません。

 

このような現実のなかで、子どもへのマイナスの影響を最小限に食い止めるべく、核施設において職員教育=人材育成の取り組みが進んでいます。

 

子どもへのかかわり方が上手な職員、仕事を早く・うまくこなせる職員が評価されていた時代もありました。しかし、そのようなスキルやテクニックの前に、職員が「人としてどう在るか」ということが見直されています。
 
子どもが「この人は、なぜだかわからないけれど信頼できる」、「あたたかい人だな」と、素の自分を開けるような、職員の在り方が求められています。

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