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子ども虐待とはなにか〜心理的虐待〜

日常的に行われていても、ケガや心身症状に表れにくく、発見が遅れがちなのが心理的虐待です。児童相談所や児童福祉施設において、心理的虐待を主訴とするケースはほとんどありません。これまで見てきた身体的虐待、性的虐待、ネグレクトと同時に行われている可能性がかなり高いのが心理的虐待です。

 

児童虐待防止法では、以下のように定義づけられています。
●ことばによる脅かし、脅迫など。
●子どもを無視したり、拒否的な態度を示すことなど。
●子どもの心を傷つけることを繰り返し言う。
●子どもの自尊心を傷つけるような言動など。
●他のきょうだいとは著しく差別的な扱いをする。

 

ここからは、事例を通して実態を詳しく見ていくとともに、心理的虐待の子どもへの影響
について考えていきます。

 

 ケース〜小5D子〜
D子の母親はD子が生まれて間もなく家を出たきり、今も連絡は取れません。小さなD子
を一人で世話することになった父親は、寝る時間もなく必死に働きながら、愛情をもって
育ててきました。

 

D子が3歳になるころ、父親が新しい女性を連れて家にやってきました。これまでは、父
親の仕事の都合に合わせた二人の生活でしたが、女性が来てからは、D子中心の生活とな
り、D子も女性になついていきます。

 

半年後、父親と女性は結婚し、二人の間に新しい赤ちゃんが産まれました。そのころから
二人のD子に対する扱いが変化していきます。

 

父親が仕事に行っている間、新しい母親となった女性は、D子に「お前なんかいなければ
いい」、「邪魔者だ」と言ったり、赤ちゃんはとてもかわいがるのにD子には食事を与えな
いことがありました。

 

父親は、はじめは母親を制止していましたが、次第に二人でD子に暴言を吐いたり、D子
が要求したことを無視するようになっていきます。食事も満足に与えられなかったD子
は、次第に体重が減り、小学校の給食の時間になるとものすごい勢いで食べ、身体の小さ
さに比べて食べる量も多いことが続きました。

 

不審に感じた担任が、ある日の放課後、D子を呼んで尋ねます。そのことがきっかけで不
適切な環境に置かれていることが発覚しました。すぐに児童相談所に通報し、職員が両親
に確認したところ、家で養育することは難しいと判断され、小2になる4月に施設入所し
ました。

 

 事例で見る心理的虐待の影響
施設で暮らすようになって3年が経ちますが、一度も両親からの連絡はありません。D子
は人を攻撃したり、ものを盗んだりといった目立った問題行動は見られませんが、担当職
員にはそれが気がかりです。

 

実の母親が出ていったあとの父親との時間は、記憶にはないかもしれませんがD子にとっ
ては温かい時間だったに違いありません。その父親からの連絡が全くないということはD
子にとっては「自分は捨てられた」という認識につながります。

 

そして、父親と新しい母親との子どもができてから、D子に浴びせられ続けた言葉や差別
的行動は、「自分はここにいてはいけない」、「生まれてはいけなかったのだ」という自己
否定に変わります。さらに、無視という行為は「なにを発しても向いてもらえない」、「自
分の存在は誰にも認めてもらえない」という否認となります。

 

自分の存在や生きている意味の否定や否認は、すべてにおける無力感へとつながります。
実際にD子は担当職員に要求を示したり甘えたりすることはありません。また表情も乏し
く、周囲がD子の感情をつかむことは困難を伴います。

 

 影響のその後
自分の存在がないかのように扱われてきた子どもは、どのように回復し、大人に
なっていくのでしょうか。

 

実際に、回復にはかなりの時間とエネルギーを要します。リストカットなどの自傷行為や
摂食障害といった自分を傷つけるという方法で、自分の存在を確認する子どもも多いのが
現実です。大人になっても過去の被害を背負い続け、精神疾患になってしまう人もいま
す。

 

大人の都合で子どもの環境が変わることは避けなければなりません。心理的虐待を受けて
きた子どもの過去をさかのぼってみていくと、私たち大人が自立した人間である必要が求められます

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