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虐待を受けた子どもが回復するとき〜「良い子」からの解放〜

虐待を受けて育った子どもたちの身体やこころは、虐待を受けないようにするため、あるいは自分の意思とは無関係に与え続けられる痛みを最小限に感じようとするため、さまざまな機能を虐待環境に過剰適応させようとします。

 

その影響のひとつに、「良い子」を演じることで身を護ろうとすることがあります。ここでは、「良い子」はどのように作られ、安全で安心な環境の中で「良い子」からどのように解放されていくのかを見ていくことにします。

 

 「良い子」はどのように作られるのか
虐待は、子どもたちの成長や生活のリズムや感情とは無関係に行われます。「止めてほしい」、「こうしてほしい」と訴えても叶えられることはありません。それどころか、一度行われてしまった虐待はエスカレートする一方です。

 

その結果、子どもたちは息をひそめるように生活していきます。親の感情が昨日よりも落ち着いていることを願い、まるでピエロのように気を遣い、親の機嫌が損なわれないようにお手伝いをしたりします

 

母親からの虐待を受けていた、小学校2年生の女の子です。3歳違いの妹がいました。母親は自分の好きなことばかりして、家事や妹の世話を女の子にさせていました。しかし、まだ幼い女の子は、失敗もしてしまいます。

 

すると、母親から「役立たず!」、「こんなに散らかして!」と罵声を浴びせられながら暴力を受けます。そのため、女の子はいつも母親の顔色をうかがい、失敗をしないように細心の注意を払いながら過ごしています。

 

そして妹が散らかしたりいたずらをしないよう言い聞かせ、仮に妹がなにかをしでかすと、母親の見ていない隙に女の子が片付けをして、なにもなかったかのようにつくろいます。

 

このようにして、女の子は「良い子」をすることで、母親から暴力を受けないように身をまもって生活していました。

 

 「良い子」とはどんな子か
「良い子」を生きる術として身に付けた子どもたちは、施設に多くいます。子どもたちは施設にやってくると、しばらくは自分を良く見せようと、どんなこともがんばります。そして大人の動きや顔色をとてもよく観察しています。

 

そして、いつもにこやかで、嫌なことがあっても泣いてわめいたり、怒って感情を爆発させることはありません。

 

自分の考えや思いを主張することは、親の虐待をエスカレートさせるきっかけになるからです。施設に来ても、自己主張することはめったに見られません。

 

子ども同士で遊んでいても、他の子ども達について回り、なじもうとします。職員の言うことをよく聞き、ルールを守って従順に生活し、聞き分けの良い子と見られがちです。職員にとっては「手のかからない子」それが「良い子」です。

 

 「良い子」が解放されていくとき
施設職員は、手のかからない「良い子」にとても配慮しています。虐待環境の中で「良い子」を演じ、自分を出して認めてもらう体験がなかったのだろうと推測します。

 

自分という核がとても小さいか、まったく育っていないため、身体は大きくても内面はまるで小さな赤ちゃんのようです。

 

施設職員が最もたいせつにしているのは、どのような表現をしても(しなくても)、その子はその子であると、まるごと受け入れることです。「自分がそこにいても良い」という確信を持ち、「自分は受け入れられている」という安心感を抱くと、「良い子」の仮面を外していきます

 

また、子どもがこころで感じていることを見通し「〇〇ちゃんは本当はこうしたいのかな」、「今、怒りを感じているのかな」などと代弁することも意識的に行っています。自分の感情を押し殺して生きてきた子どもたちは、自分がなにを、どのように感じているのかがわかりません。職員が代弁し、言葉を与えることによって子どもたちは自分の感覚を知ることができます。

 

丁寧なかかわりの中で、少しずつ「良い子」の仮面を取ることができた子どもは、笑顔だけでなく、さまざまな感情を表現し始めます。その中には、問題行動が見られることもありますが、それは成長の一つだと心をなでおろすこともあります。

 

「良い子」の術を身につけられる子というのは、生きる力があります。子どもたち一人ひとりの内面に、どのような可能性があるかを見出し、引き出すことが施設職員の役割でもあります。

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