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子ども虐待はなぜ起こるのか〜虐待をしてしまう親〜

子ども虐待に関するニュースが流れると、たいてい「ひどい親」と語られ、「なぜ悲劇は起きたのか」についても必ず取り上げられます。悲劇を減らすために、さまざまな活動も起きていますが、子ども虐待は減るどころか増加傾向にあります。

 

ここでは、実際に虐待を受けた子どもたちが暮らす児童福祉施設の職員として、さまざまな子どもや保護者と出会い、かかわってきた立場からこのテーマについて見ていきます。

 

 虐待をする親は「ひどい親」か?
虐待行為だけを取り上げれば、法律でしてはいけないことをしたのですから「悪い」、「ひどい」ことに間違いはありません。しかし他の犯罪行為と異なる点は、家族という親密な関係性の中で起きているという点です。

 

もちろん、「家族だから」、「自分の子どもだから」と理不尽にコントロールをしたり、傷つけるといった不適切な行為をしてはなりません。

 

家族という親密な環境は、すべての人に与えられています。親密性が高くなればなるほど、歯車がうまくかみ合わなければ問題も生じやすくなります。虐待行為をした人だけが特別に「悪い」、「ひどい」というよりも、虐待は関係性の問題であり、誰にでも起こりうる家庭での問題という認識が必要です。

 

 家族という親密な関係性の中で自分をどう生きるか
親密な関係性を心地よいと感じ、楽しんで子育てをしている人、夫婦で協力して仕事と子育てを両立している人もいます。一方で、親密な関係性の中で自分を生かしきれずにストレスを抱えている人もいます。

 

虐待をしてしまったと振り返る保護者の語りから、いくつかの傾向が見えてきます。
@自分が愛されてこなかった
親自身が、子どものころ親から虐待を受けていたり、児童福祉施設で暮らした経験があると
いう割合は比較的高いです。過去の経験から回復できずに、未だ苦しんでいる場合、自分が
されて嫌だったことを自分の子どもにもしてしまう傾向があります。

 

A親自身になんらかの障害がある
虐待は、人格やその後の人生に大きなダメージを与えます。親自身が虐待等の被害を受けて
きた場合、精神疾患に至ったり、逃避行為として薬物やアルコール、人といった、自分以外
のなにかに依存やすくなります。障害があるから虐待をするというよりも、その苦しさのは
け口の一つが虐待という結果に至るケースがあります。

 

また精神疾患の場合、適切な判断に欠けてしまうためネグレクトが起こりやすくなります。
特に、世話の必要な小さな子どもの場合は、命の危険を伴うため、緊急に保護されるケース
も多くあります。

 

親が知的障害を伴っている場合もあります。周囲に、理解者や子育てを支援してくれる存在がいればよいのですが、親が孤立している場合、同じくネグレクトに陥りやすくなります。

 

B地域社会から孤立・孤独
親自身が自分の親から虐待を受けていたり、施設で育った場合、子育てを手伝ってくれる親や身近な人がいません。また、そのような経験をしていると「生まれ育った地元」がなく、住んでいる地域から孤立・孤独に陥りやすくなります。

 

助けてほしいとき、相談したいとき、誰かに子育ての大変さを話したいとき、気楽に頼れる誰かがいないのは本当に辛いものです。

 

もちろん、上記の要素だけではありませんが、これだけを見ても、虐待をする親の人格そのものが「ひどい」、「悪い」のではないことが理解できるでしょうか。そして「ひどい」、「悪い」と語ることが、今その状況にあっても必死に子育てをしている親たちをさらに追い詰めることに気付いていただけたでしょうか。

 

たいせつなことは、行為を批判することではなく、なぜその行為をせざるを得なかったのかという背景に目を向けることです。そして一人でも多くの親が、どんな障害を持った親でも、家族の中で自分らしさを失わずに子育てができるために、社会全体で子どもを育てるという視点が必要です。

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