母親との関係性を知ることは、今のあなたを知る鍵になる

相談活動をしていると、30代や40代の、いわゆる大人と出会う中で「もっと自分らしくありたい」という思いを抱いている人が多くいることに気づきます。

 

彼らは、特別な障害を持った人ではありません。一般的な家庭に生まれ育ち、社会人として働き、精神的にも経済的にも自立している人もいれば、結婚や出産を経て子育てをしている人もいます。多くは、立派に社会生活を営んでいます。

 

そして彼らの多くが「もっと自分らしくいたい」という願望を持っている反面、「自分らしさがわからない」と訴えます。

 

たいていは、過去や現在において母親との関係性に、何らかの解決していない葛藤を抱いていることがあります。

 

自分らしさを求めながらも、自分らしさがわからないという思いを抱えて生きることは、とても息苦しさを覚えます。それは「生きにくさ」と表現されるかもしれません。

 

母親との関係性に解決していない葛藤を抱いていると、大人になった私たちにどのような影響を与えるのでしょうか。そして、そのことと向き合うことは私たちにどのような変化をもたらすのか、事例を通して見ていきます。

 

 娘を通して気づく、母親と自分の関係性
大人になったあなたは今、母親にどのような感情を抱いているでしょうか。少し立ち止まって考えてみてください。

 

「母親から大切に育てられたと感じている」、「母とは大人になった今でもいい関係を築いている」という人も多くいるでしょう。

 

しかし生きにくさを感じている人のほとんどが「もっと母親に愛してほしかった」、「甘えたかった」と言います。

 

40代のHさんには、中学1年生の娘がいます。娘が幼いころは何かと口うるさくしていたのですが、反抗期に入り素直に母親の言うことを聞かなくなっています。最近の育てにくさについて、友人と話していたときのことです。

 

友人が「あなたとお母様の関係に何かあったんじゃない?」と言ったことがきっかけで、自分の過去を振り返ることになりました。

 

するとHさんは、自分の子育てのやり方や関わり方が母親とそっくりだったことに気づきます。Hさん自身、子どものころは口うるさく管理的な母親の存在をうっとうしく感じており、今娘が自分に感じていることは、当時の自分と同じであることにも気づいたのです。

 

 もっと母親に愛してほしかった〜母親にどのような感情を向けていますか〜

 

Hさんは自分が娘に対してしてきたことに愕然とし、落ち込みます。取り返しのつかないことをしてきたのではないか、と焦りも出てきます。

 

また「なぜ私がこんなに苦しまなければいけないのか、こんな自分に育てたのは母親ではないか」という怒りも湧いてきます。

 

しばらくしてHさんはカウンセラーを訪ね、母親と向き合うことにしました。母親に対する怒りを語っているうちに、寂しさや悲しみ感じている自分に気づきます。「もっと愛してほしかった」、「もっと私の話を聞いてほしかった」という思いです。

 

 母親にしてほしかったことを行動に移すことで、関係性に変化が生まれる
すでに大人になり、当時の環境とは大きな違いがある今、怒りや寂しさを母親にぶつけても、良い方向には導かれないことは理解できました。

 

そこでHさんは、自分が母親に求めていたことを自分の娘にすることにしました。否定せずにじっくりと話を聞いたり、小さなサインをキャッチして声をかけたり、娘が努力して結果を出したときには十分にほめたりしました。

 

すると、始めは「気持ちが悪い」と言っていた娘が、次第に自分から話しかけてきたり、出かけたいと言うようになったのです。

 

私たちは普段、人との関係性の中でうまくいかないことがあっても、その背景に自分の母親との未解決な問題があると考えることはまずありません。

 

しかし、特に家族など身近な人とうまくいっていない現状があれば、自分の原家族との関係性を振り返ってみると良いでしょう。

 

誰にも満たされなかった過去はあります。そこに気づき、自分は本当はどうしてほしかったのかをしっかりと見つめること、そして今うまくいっていない相手にすることで関係性に変化が生まれます。

スポンサードリンク



TOP 代表あいさつ お問い合わせ